「BFR(血流制限)トレーニングは、血流がよくなるって本当?」
最近、こうした質問が増えてきました。
実はこのテーマ、ここ数年で研究がかなり進み、「筋トレ以外のメリット」として血流改善効果が注目されています。
今回は、専門用語をできるだけ使わず、これまでの研究でどんなことが分かってきたのかを、出典とあわせてまとめました。
■ BFRで血流がよくなると言われる理由
BFRでは、腕や脚にベルトを巻いて血流を一時的にゆるく制限し、トレーニング後にベルトを外すと、
血液が一気に流れ込む(パンッと温かくなるような感覚)
これが”血管への刺激”となり、血流がスムーズになりやすいと考えられています。いわば血管のエクササイズのようなものです。
以下では、この考え方を支持する代表的な研究を3つご紹介します。
■ 研究①:血管の柔らかさへの影響
血管の硬さ(動脈スティフネス)に対するBFRの影響をまとめたナラティブレビューによると、BFRの長期的な影響は「軽度の改善、または中立」と結論づけられています(Gepfert et al., 2023)。
また、高齢者を対象とした研究では、4週間のBFR抵抗運動が血管内皮機能と末梢血流を、BFRなしの群よりも有意に改善したことが報告されています(Yasuda et al., 2015)。
特に40代以降は血管が硬くなりやすい年代。重い負荷の筋トレをしなくても血管への刺激を得られる可能性がある点が注目されています。
※研究によって結果にばらつきがあるため、「改善した・あるいは維持された報告がある」という段階です。
出典①
Gepfert, M. et al. (2023). Changes in Arterial Stiffness in Response to Blood Flow Restriction Resistance Training: A Narrative Review. Journal of Clinical Medicine, 12(24), 7602.
DOI: 10.3390/jcm12247602
出典②
Yasuda, T. et al. (2015). Low Intensity Resistance Exercise Training with Blood Flow Restriction: Insight into Cardiovascular Function, and Skeletal Muscle Hypertrophy in Humans. Journal of Physiological Sciences.
PMC: PMC4422957
安全性が気になる方はこちら
→「血流制限トレーニングの安全性とエビデンス|40代でも安心して取り入れられる理由」
■ 研究②:細い血管への血流が促される可能性
フロリダ大学の研究グループが行ったランダムクロスオーバー試験では、低負荷(1RMの40%)のBFR運動後に、毛細血管の新生(血管新生)に関わる遺伝子——とりわけVEGF(血管内皮増殖因子)のmRNA発現が有意に上昇することが確認されました(Larkin et al., 2012)。
また別の研究では、3週間の高頻度・低負荷BFRトレーニングにより毛細血管数が21〜24%増加したことが筋生検(組織採取による直接観察)によって示されています(Bjørnsen et al., 2020)。
普段の生活では使われにくい”細い血管”にも刺激が入るため、冷えの改善や疲労回復につながる可能性があると考えられています。
出典③
Larkin, K.A. et al. (2012). Blood Flow Restriction Enhances Post-Resistance Exercise Angiogenic Gene Expression. Medicine & Science in Sports & Exercise, 44(11), 2077–2083.
DOI: 10.1249/MSS.0b013e3182625928
出典④
Bjørnsen, T. et al. (2020). Skeletal Muscle Microvascular Changes in Response to Short-Term Blood Flow Restricted Training. Frontiers in Physiology.
DOI: 10.3389/fphys.2020.00445
■ 研究③:軽い負荷でも血流刺激が起きる
40代の方にとって大きなポイントはここです。
60歳以上を対象とした系統的レビュー&メタアナリシスでは、1RMの20〜30%という低負荷のBFRトレーニングが、70〜85%の高負荷トレーニングと同程度の筋肥大効果をもたらすことが示されています(Lixandrão et al., 2018)。
つまり重いバーベルを扱えない方でも、十分な生理的刺激を得られるということです。
「運動初心者や40代以降でも取り入れやすいトレーニング」と言える根拠がここにあります。
出典⑤
Lixandrão, M.E. et al. (2018). Effects of Blood Flow Restriction Training on Muscular Strength and Hypertrophy in Older Individuals: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Medicine, 48(8), 1949–1960.
DOI: 10.1007/s40279-018-0994-1
■ 実際にどれくらい効果が出るの?
研究では、
・週2〜3回
・1回10〜15分程度
・軽いスクワットや腕の曲げ伸ばしなど
でも血流への刺激が確認されている例があります。もちろん個人差はありますが、「軽くても、短時間でも、刺激が入る」という点がBFRの強みです。
何分まで巻いていいか気になる方はこちら
→「BFRは何分まで巻いていい?40代が知っておきたい安全な目安」
■ 40代に向いている理由まとめ
・関節にやさしい(軽い負荷でOK)
・血管の働きをサポートする可能性がある(研究によって差あり)
・冷え・疲れやすさ対策にも向く可能性
・運動が苦手でも続けやすい
40代からの体づくりや健康改善と相性がいいトレーニング法として、現在も研究が進んでいます。
■ 最後に:安全に行うことが最優先です
BFRは正しく行えば安全ですが、巻き方や負荷の設定が間違うと効果が出にくかったり、無理がかかったりすることもあります。
最初はインストラクターと一緒に行うことをおすすめします。
あなたの体に合わせて、無理のない範囲で始めてみましょう。
→ 実際の始め方はこちら|「40代からの血流制限トレーニングの始め方」
→ 安全性が気になる方へ|「BFRトレーニングは危険?副作用はある?」
参考文献
1. Gepfert M et al. J Clin Med. 2023;12(24):7602. doi:10.3390/jcm12247602
2. Yasuda T et al. J Physiol Sci. 2015. PMC4422957
3. Larkin KA et al. Med Sci Sports Exerc. 2012;44(11):2077–83. doi:10.1249/MSS.0b013e3182625928
4. Bjørnsen T et al. Front Physiol. 2020. doi:10.3389/fphys.2020.00445
5. Lixandrão ME et al. Sports Med. 2018;48(8):1949–60. doi:10.1007/s40279-018-0994-1


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