膝痛・腰痛があっても筋トレできる?健康寿命を延ばすBFRトレーニングの可能性

① BFRトレーニング基礎

「痛みがあるから運動できない」

そう思って、動くことを避け続けていないだろうか。

その判断が、痛みをさらに長引かせている可能性がある。

膝痛・腰痛などの慢性的な痛みを抱えながらも、自分の足で歩き続け、好きなことを続けていくために。BFRトレーニング(Blood Flow Restriction Training)は、その選択肢のひとつになり得る。


動かさないことで、体は衰える

膝や腰に痛みがあると、「安静にしなければ」と考えるのは自然なことだ。

しかし慢性痛の場合、過度な安静はむしろ逆効果になることが多い。

動かない → 筋肉が落ちる → 関節を支える力が弱まる → 関節への負担が増える → 痛みが悪化する。

この悪循環に陥っている方を、現場では本当によく見かける。

治療は医療の領域だが、「筋力を維持・向上させて体を支える力をつける」ことはトレーニングの領域だ。慢性的な痛みがある方こそ、運動指導の力が活きる場面がある。


BFRトレーニングとは

BFRトレーニングとは、専用のカフ(圧迫帯)を腕や脚の付け根に巻き、血流を部分的に制限しながら行う低負荷の筋トレだ。

通常、筋肥大・筋力向上には高負荷(1RMの70〜80%以上)が必要とされている。しかしBFRを使うと、1RMの20〜30%程度の軽い負荷でも、高負荷トレーニングに匹敵する効果が得られることが研究で示されている。

軽い重量で、大きな効果。これが慢性痛を抱える方にとって重要な意味を持つ。


なぜ膝痛・腰痛を抱える人にBFRが向いているのか

関節への負担を抑えながら筋肉を鍛えられる

BFRは軽い重量で行うため、膝関節・腰椎にかかる機械的なストレスが小さい。「重いものを持つと痛い」「通常の筋トレをすると翌日つらい」という方でも取り組みやすいのが特徴だ。

研究でも効果が確認されている

膝OA(変形性膝関節症)に対するBFRの効果は、複数のRCT(ランダム化比較試験)で検証されている。多施設RCTの結果では、BFRトレーニングが通常の荷重トレーニング単独と比較して、筋力向上・疼痛軽減・日常生活動作の改善において優れた結果を示したと報告されている(Frontiers in Endocrinology, 2023)。 nih

腰痛についても研究が進んでいる。慢性非特異的腰痛を持つアスリートを対象にした研究(Liu et al., 2025)では、低負荷BFRトレーニングを4週間実施したグループで、痛みの強度と機能障害レベルが統計的に非常に有意な改善を示した(p<0.001)。 nih

「動き続けられる体」を維持するために

健康寿命を左右する大きな要因のひとつが、下肢の筋力だ。膝や腰の不調をきっかけに運動量が落ち、筋力が低下し、さらに動けなくなる——そのサイクルを断ち切るための手段として、BFRは非常に有効な選択肢になる。


トレーナーとして明確にしておきたいこと

BFRトレーニングは医療行為ではない。痛みの診断・治療は医師・理学療法士など医療の専門家が担う領域であり、私はその領域には踏み込まない。

私が提供できるのは、「医療的な問題が整理されたうえで、いかに安全に・効果的に体を鍛えるか」という運動指導だ。

痛みが強い急性期、炎症が著明な時期、血管系の疾患がある場合などは、BFRの適応にならない。このような場合はまず医療機関での評価を優先していただく必要がある。

研究を調べ、現場で経験を積んだうえで言えることがある。BFRは「やみくもに巻いて動けばいい」ものではない。適切な圧迫圧の設定、負荷の管理、対象者の状態の把握があってはじめて機能する。


まとめ

  • 慢性痛があっても、適切な運動は健康寿命の維持に不可欠
  • BFRは低負荷で筋力・筋量を高められるため、関節への負担が少ない
  • 膝OA・慢性腰痛への効果は複数の研究で示されている
  • 治療は医療の領域。BFRトレーニングはその先の「動き続けられる体づくり」を支えるツールだ

「痛みがあるから動けない」ではなく、「痛みがあるからこそ、やり方にこだわる」。

BFRトレーニングは、健康寿命を延ばすための現実的な選択肢になり得る。


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